でんでんむしとなめくじ

垂れ込めた黒い雲が、汗をいっぱいかいて地上にそれを振り落としていました。

でんでんとなめなめは、無二の親友です。

今日も一緒に、雲の汗を避けてアジサイの大きな葉っぱの下にぶら下がりながら

お話に夢中でしたよ。

「でんでん君はどこで立派な背中の貝殻を見つけたの?」なめなめが尋ねました。

「気付いた時から、背中にあったんだよ!」でんでんは答えました。

「僕もそれがほしいなー 少し貸してくれないかな?」

「それが貸せないんだよ。背中から外れないのさ…」

「それならなめなめ君に合う貝殻を一緒に見つけに行こうよ!」

でんでんは勢いよく言いました。

「うれしいなー 見つけにいこう、行こう!!」

なめなめは楽し気に返事をしました。

空から雲の汗は落ちなくなり、

でんでんとなめなめは大きな葉っぱから地面に降りて

手をつなぎながら、貝殻を探しに出発しました。

ほどなく、ちょうどでんでんのと同じくらいの大きさの貝殻が見つかりましたよ。

「これを着てごらんよ!」でんでんは言いました。

「うん!僕着てみるよ!」なめなめは答えました。

なめなめは、貝殻を着ようとしますが、すぐにズレて着ることができません…

「おかしいな、なんで着れないんだろう?」

二人とも首をかしげていました。

そのときです!!なめなめの体に、白い砂みたいなものが降りかかりました!

なめなめの体はどんどん小さくなっていきました。

「でんでん君、僕なんだか眠くなってきたよ…」

「なめなめ君どうしたんだ!!早く葉っぱに帰らなくちゃ!!」

なめなめの体は干からびていって、ついになくなってしまいました。

でんでんが気配を感じて上を見上げると、

大きな二本足の動物がこっちを見ていました。

でんでんは、粘液の涙を流しながら、アジサイの葉っぱの裏に

なんとか逃げのびました。

そんなことがあってから長い時間が経ちました。

「なぜ、私だけはあのとき、あの恐ろしい二本足の動物に

毒の白い粉をかけられなかったのだろう…」

大きくなった今でもでんでんは、なめなめのことを思い出します。