カテゴリー: 詩

冷気が窓を通してやってきた。

今夜は久しぶりに本格的な寒さが来そうだ。

静かな町に、人もカラスも身を潜めて

真冬らしい真冬の夜に備えているだろう。

四季は巡り、前の冬と違う感じ。

余が老いたのか、星が老いたのか。

夕飯は、機械的にすすむ。

幸はどこに置き忘れてきたのか。

冬の雨に打たれながら町を行く。

冷たくもない小雨さ。

押し迫った師走の静寂に

去りし日の思いはめぐる。

今日は束の間の小休止。

明日はどっちに転ぶか。

ひと月位は持たせるさ今まで通り。

それ以降は人の手を借りざるをえない。

人それぞれに試練はあるさ。

銀色の雲と冷たい風は、山並に化粧した。

暖冬なりに季節は進んでゆくよ。

雀は庭に飛んできて、なにか取って行ったよ。

私たちも冬本番に備えよう。

冬の曇天に心を曇らせて、

思い悩むは人の子か。

現世に重ねて苦しみあり。

誰がために今はある。何のために今は行く。

晴れるとも曇るとも、悪いときはわるく良い時はよい。

ただ耐えるのみで年月は過ぎ去るが、全体として滑らかに悪化している。

全く自分も衰えているのにね。

天気とともに、心のありかもわかればいいのに…

冬の日の陽光は、消え去りぬ。

薄暗い街の灯とともに寒気は訪れる。

それもまた朝日に露となって消えゆくさだめ。