暗けれどこれもまた良し電球や
軋み
電車の軋み、風の吹くままに
反響の幾重にもこだまして
夜更けの町に静かに響く。
ああ寂寥は溢れ出て、一体何を求めるか?
人か… 一杯の酒を干して
ただわからぬままに眠る。
うずく目
疼く目はどうにもならむ雪の日や
初雪
夜の間に初雪降りて町白し
大風
大風と寒さは増して山清し
冬と夏
夏が来れば冬がまし、冬が寒けりゃ夏恋しい
年賀状
めでたくはないと減るかな年賀状
復路
学生の魂輝く復路かな
駅伝
駅伝の観客少なしコロナかな
通り道
雪かなと思えど雨の通り道
籠る町
人籠る町はえらい寒さやな
小晦日
いつもより増して静かな小晦日
ちりあくた
塵芥払い清めむ冬の雨
名詩覚書2
あらゆる労れと悩みを燃やせ すべてのねがひの形を変えよ
(宮沢賢治)
太陽には太陽の輝きがあり、月には月の、そして星々には星々の明るさがある
(ペスタロッチ)
動けば雷電の如く発すれば風雨の如し、衆目駭然、敢て正視する者なし。
これ我が東行高杉君に非ずや
(伊藤博文)
「星とたんぽぽ」
青いお空のそこふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、
昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
ちってすがれたたんぽぽの、
かわらのすきに、だァまって、
春がくるまでかくれてる、
つよいその根はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
(金子みすず)
秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる
(藤原敏行)
秋深き隣は何をする人ぞ
(芭蕉)
静寂
静寂の町は寒しや師走かな