ある路地裏の土の道に、水たまりがあります。
ここは、入り組んだ長屋の迷宮といったところでしょうか。
そんな所の奥のほうに一つの文化住宅がありました。
階段は、今すぐにも抜けてしまいそうですね。
その文化住宅の2階にクレハとミズハは住んでいました。
お隣同士で、クレハとミズハは、仲良しの女の子です。
今日も泥んこになって、ふたりは水たまりで遊んでいます。
そんなある日一匹のカラスが、その辺の道の真ん中に傷付いて落ちていました。
クレハとミズハは、カラスを持って帰り、手当てをしてあげましたよ。
そして元気を取り戻したカラスは、数日後、大空に戻ってゆきましたね。
そして、時は去り20年の年月が経ちました。
クレハとミズハは、それぞれお母さんになっていましたよ。
そんなある日二人のもとに封筒が届きました。
その封筒のなかには、カラスの黒い羽根と2枚の金貨が入っていましたよ。
その封筒には差出人は書いていませんでしたが、
2羽のカラスが、さっき飛んで行ったと、二人の子供たちが話していましたね。