秋風

風が行ったり来たりお部屋を彷徨う

秋の日のお昼前に

物憂げな雀の瞳に薄曇りの空が映る

風はほんの少し冷たかった

秋風

秋風はつむじを巻き、私を吹き抜ける

人は運命から、逃れられぬかもしれない

過去の行いを、私は忘れていても

その報いは、良かれ悪しかれ必ず訪れる

私はその運命さんに、お茶菓子をお出しして

お出迎えいたしましょう

雨上がり

雨上がりの清冽な風が

頬を通り過ぎるとき

嗚呼、林間学校の川の畔を思い出す

冷たい川底に手を突っ込んで

みんなで小石を探したよ

その時の風もこんな感じだった

もう一つは、武蔵野の近く、霜が降りる頃

その辺りの水道の冷水に、手はかじかみながら

顔を洗って、学びに行ったあの時の

その風に今夜は似ているよ

夏の一日

あの日あの時の

カラオケboxのひと時

夏の日のある暑い一日

強烈に刻まれた瞬間だ!

一瞬で永遠のこと

相対性理論の実験証明だ。

けれども忘れてはいないけれど

その日のその時の感情は、でがらしのお茶のように

今は、残念ながらもう薄くしか残っていない

あの夏のあの心はあの空間にしか

もうない

舞台

枯れかけた、しおれた花にも

また生命の輝きが光っている

異能の絵師若冲もまた

枯れた葉や虫食いの穴を

見逃さず描いたではないか

すべての存在に生命がある

ならば生ある限り

私は私の舞台で

最後の最後まで

人生を演じ続けようと思う

あの頃と

ハタチの頃と今の私と

心の趣きや思考回路が

どの位変化したのだろうか

人同士の関係は、相互利用ともいえよう

嗚呼、私はあの頃から

何か変わったのだろうか?

横顔

あなたの横顔そっとみたの

何を思ってるのかしら

今この時が過ぎてゆく

とわの時間の中で

確かにあった一瞬に

私の心は誓ったの

あなたはすべていつまでも

雨のにおいが風とともに

窓からひと部屋に訪れる

なんて心地よき風なんだろう

体の汗を乾かして

吹き通る冷たき風よ

私の心は目覚めたよ

山並み

山並みは遠きは霞み近きは見ゆる。

山並みは気高く高く連なりて

山並みは夕日に今日は輝き消ゆる。

山並みをみんなは今日は見なくとも

山並みはいつも街と共にある。

明日

世は混沌となり

物価は不気味に上がり

21世紀は破滅に向かうのか

あの人もこの人も

遠くて近いあの人は

どうしているのかな

一度の人生を悔いなく

明日に向かっていこうよ

水たまり

どうするの?

どうしょう?

雨がやむのを待ってます。

やんだらぐにょぐにょ公園で

水たまりに入りましょう。

石ころ

道の石ころけとばして

10億年はころがった

丸き地球で矢を放つ

その矢は回って自分にあたる

地球の裏の涼風がさらさらさらりと吹き抜けた

10億年の雨水が私の額に落ちてきて

私の中のいのちからぬくい涙は流れたよ

ビル群

見なくても気付かなくても空は流れる。

山並みの木々は霞に煙って見えないよ。

嗚呼、寒き日の夜空の輝きよ。

巨大なビル群も天には届かないね。

私の心はゆとりを持つことを忘れてしまったみたい。

心の赴くままに、余裕を見つけよう。

寒波

歳末に向かって嗚呼、最悪の気分だ。

目は徐々に悪くなるし、たまに耳もよくない。

指輪やカメオのいい分だけ、いつの間にかない。

なぜないか記憶にない。それらを探した時の埃で

私の繊細な喉が、ヒューヒューいうのだよ。

いやだいやだ、もういや。

今年一番の寒波が、暗い夜空を覆い尽くしているよ…