渡る風

廊下を渡る風は、強く吹き抜けた。

窓より見える雲は、この夏一番の入道となり

その下の山並みの7倍の大きさで、青空に佇んでいる。

地上の喧騒は、車のエンジンの音と子供の元気な声。

真っ昼間に蝉は鳴かずに、静かに夕暮れを待っている。

万の鐘

美の流れは続き、万の鐘はなる。

さい果ての地から海は落ち、象は今日も地を支える。

コオロギは鳴けども姿は見えず、漆黒は今宵ビルを飲んだ。