夜会

秋風夜風涼やかに、秋の訪れ告げ行かん。

夜会のお誘い喜々として、春のごとくに心舞う。

我は根もなし浮きし身の、関公捧ぐ鬼殺し。

涼し夜風に身をさらし、汝の願いを捜さんか。

クモ子の雲

空き地にある大きな赤いドラム缶3個の間が彼女の住処でした。

コグモのクモ子は、たくさんの兄弟姉妹とそこに住んでいます。

秋の風は澄み切って、コスモスの香りを少しだけ届けてくれます。

今日も赤ドラムの間に張ってある大きな巣の家では、上を下への大騒ぎです。

「俺様のチョコレートを返せ!」

「なんのことかな?」

「お前の口の中だよ!!」

「腹の中にはいってしまったから、代わりに糸で我慢したまえ」

「糸なら俺様も出せるさ!」

「兄者たち、もうやめてよ!家が揺れて仕方がないわ」

「クモ子は黙ってろ!これは男の喧嘩さ」

蜘蛛の一家は、そのような騒がしい毎日でしたよ。

ある時、すさまじい突風が突然やってきました。

巣の土台となっていた赤いドラム缶は、横に倒れ転がっていきました。

当然、蜘蛛の一家も跡形もなくなってしまいました。

クモ子は、大風に飛ばされながら、必死に糸を出し続けましたよ。

クモ子の糸は、大きなお空の雲の端っこに引っ掛かり

クモ子は雲の上に乗ることができました。

それからクモ子は雲子となって、永遠に下界を見守り続けています。

ほら、あの雲の上には、きっと雲子が隠れていますよ。

轟音

風は行き、雲は流れる。

清らかな大気は満ちて

飛行機の轟音は空にこだました。

窓からの景色は、夏から秋へと移ろい始めたよ。