言葉尽くせず

目を閉じて歌を聴けば

その歌手の心が伝わってくる。

何を思い歌うのか?

言葉は尽くせず、声も尽くせない。

明確に説明できることは、この世には少ないのだ…

無理に理由を問うても無駄なこと。

ほら、なぜ山に登るのと訊くのと同じさ。

だから、その人を知ろうとすることだと思うよ。

静かな町

冷気が窓を通してやってきた。

今夜は久しぶりに本格的な寒さが来そうだ。

静かな町に、人もカラスも身を潜めて

真冬らしい真冬の夜に備えているだろう。

前の冬

四季は巡り、前の冬と違う感じ。

余が老いたのか、星が老いたのか。

夕飯は、機械的にすすむ。

幸はどこに置き忘れてきたのか。

小雨

冬の雨に打たれながら町を行く。

冷たくもない小雨さ。

押し迫った師走の静寂に

去りし日の思いはめぐる。

小休止

今日は束の間の小休止。

明日はどっちに転ぶか。

ひと月位は持たせるさ今まで通り。

それ以降は人の手を借りざるをえない。

人それぞれに試練はあるさ。

銀色の雲と冷たい風は、山並に化粧した。

暖冬なりに季節は進んでゆくよ。

雀は庭に飛んできて、なにか取って行ったよ。

私たちも冬本番に備えよう。

曇天

冬の曇天に心を曇らせて、

思い悩むは人の子か。

現世に重ねて苦しみあり。

誰がために今はある。何のために今は行く。

心の在処

晴れるとも曇るとも、悪いときはわるく良い時はよい。

ただ耐えるのみで年月は過ぎ去るが、全体として滑らかに悪化している。

全く自分も衰えているのにね。

天気とともに、心のありかもわかればいいのに…