柔らかし苔とどんぐり踏み歩く
川原
川原には狐が跳ねし幻か
すすき
昼下がりススキ踏み分け河原かな
公園
公園で親らの被写体子のモデル
木のうろ
うろ深し宇宙の奥の黒き哉
下弦
涼風に月は輝く下弦かな
風呂
風呂潜り目を開けぬれば別世界
信玄
篠笛よ信玄誘う諏訪湖かな
暮れ
何者になれずともよし秋の暮れ
窓の光
曇りでも窓は仄かに秋の日や
薄曇り
薄曇り心の中も鉛色
算盤
晩秋に手はかじかんで珠弾く
防犯係
大声でうるさき人は防犯に
匂い
金木犀匂いはすれど目に見えぬ
曇り日
曇り日の昼下がりの静けさや