虫さえも凍える声の9月かな
秋の山
聞こえるよツクツクと鳴く秋の山
蝉の声
弱々し夏の終わりの蝉の声
扉
月見れば雲の扉に入りにけり
螺旋
寄り添うは螺旋の階段カラスたち
キリギリス
無残やな道路で踏まれたキリギリス
真白
十六夜の月は真白に澄みにけり
風
風ひとつ花壇にそよぐ猫じゃらし
かたつむり
一茶詠む蝸牛だけで何句かな
草
みすず詠む草も土も心かな
雲
月と星共に雲の海を行く
スマホ
信号の青も気づかぬスマホかな
シャボン玉
シャボン玉ふいて楽しや美大生
石ころ
あわれかな石ころ散らす古墳哉
晴雨
雨降れば晴れの日ぞ待ち遠し
晴れたれば雨のにおいぞ懐かしき
無いものはほしいぞ
あるものは飽きてくる
物も事も全て無い物ねだりさ